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ALS根絶に挑み20年、有病率高い三重県で
小久保康昌(こくぼ・やすまさ)先生は頑張っておられます。


「ALSを次世代に残さない」。
体の感覚や知能は保たれたまま全身の筋肉が動かなくなる難病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)。
三重大大学院地域イノベーション学研究科紀伊神経難病研究センターの小久保康昌(こくぼ・やすまさ)先生(H2卒)は20年以上、原因究明に取り組んでいる。
小久保さんらの研究によると、三重県と和歌山県にまたがる紀伊半島南部にはALSの有病率が全国平均と比べ、100倍近い地域がある。理由は分かっていない。
三重大医学部卒業後、三重大病院の神経内科に入局し、1995年に研究を始めた。
約30人の研究グループが目指すのは、ALSを引き起こすタンパク質が脳内にたまることを防ぐ薬の開発だ。代表である小久保さんは三重県南伊勢町の病院で診察し、投薬で症状が改善するかなどを調べている。ALSを「悲惨な病気」と表現する。だんだんと体の動く部分が減っていく。意思を伝えるには眼球や皮膚を使うが、どこも動かせない状態に陥る人もいる。
「頭でははっきりと考えているのに、伝えられるのは数%。これほど苦しいことはない」告知を受け入れられず、うつ状態になる例も。本人もつらいが、支える家族の負担も大きい。たんの吸引は寝ている間も欠かせない。おむつを替えることも必要だ。
ケアマネジャーらと協力し、何でも抱え込み過ぎないようにと伝えている。
これまで接してきたALS患者は500人余り。このうち15年間の闘病後に亡くなった男性の家族は悩んだ末、研究のための解剖を受け入れてくれた。
葬儀後、家族から受け取った手紙には「少しでも医学の進歩に役立てるのなら。先生に出会えて良かった」と書かれていた。研究に協力してもらった患者たちに報いたい。
その気持ちが小久保さんを突き動かしている。

(文責 杉本名誉支部長)



小久保 康昌先生(右) 森本研究員(左)






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